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2005.01.06

寅さんの故郷、柴又慕情

ほら、見なよ、あの雲が誘うのよ、ただ、それだけのことよ

shibamata02_daikyoujimonura_syukusyou. jpg 団子屋を後にして、少し歩くと参道の行き止まり、帝釈天の門に着きます。第10作「寅次郎夢枕」では、この写真の場所で、映画ポスターの写真が撮られました。門の右の柱に寅さんが雨宿りしているのを、左の柱の所に雨傘を持った八千草薫のマドンナが迎えに来ているシーンです。

torajirouyumemakura 雨も小降りになり、夕陽の色も少し滲んだ門で、やさしく傘を差し出している八千草薫の千代とそれに気づかず、雨模様を気にしている寅さん。9作までの映画ポスターは、ほとんど寅さんの笑い顔がメインで、この後のポスターもほとんどそのようなシーンですが、この10作のポスターは、詩情漂う名ポスターなのです。

 また、この作品で、八千草薫のマドンナが、本気で寅さんとの結婚を意思表示しますが、初期の作品群の中で寅さんの恋敵が現れない珍しいものです。恋敵までいかないのですが、マドンナに惚れる東大の先生としての米倉斉加年の好演も光っています。

 この映画には往年の大女優、田中絹代も出演しています。田中演じる長野県奈良井の旧家の女主人を寅さんが訪れますが、この時の地方の風景を見事に切り取った高羽カメラマンの美しいカメラワークも必見です。

 それと、この「寅次郎夢枕」も私のベスト3の一つです。   

あてもないのにあるよな素振り、それじゃ行くぜと風の中
 
shibamata03_roke_syukusyou この帝釈天・題経寺の門からすぐの所に喫茶店「ローク」がありました。右の写真は、前の写真の帝釈天の門の所から北の方に向いた所です。右側が帝釈天の塀で、源公がよく鐘を撞いていた鐘楼がわずかに見えています。車がある道路の突き当たりが「ローク」のあった場所ですが、遠くてよく見えません。「ローク」は、もちろん架空の喫茶店で、第8作「寅次郎恋歌」のマドンナ、池内淳子が一人できりもりしていました。
 第6作のマドンナは、若尾文子でこれはまあまあでしたが、第7作はこともあろうに榊原るみを起用してものの見事にはずれてしまい、起死回生で第8作は池内淳子となりました。これ以降のマドンナは吉永小百合、八千草薫、浅丘ルリ子、岸恵子と続き名実ともに日本映画界のトップ女優がマドンナとなるようになりました。

 さて、この「寅次郎恋歌」はもちろん私のベスト3の一つですが、この3本の中でも特に好きなのがこの作品です。それは、名優志村喬とのからみが前半部を盛り上げているからです。

shimuratakashi 志村喬は、さくらさんのご主人博さんの父親役で、第1作のさくらさん夫婦の結婚式にも出ていますが、この作品の志村喬がいぶし銀のような名演技です。志村喬と言えば、何と言っても黒澤明監督の「七人の侍」が有名ですが、実はこの七人の侍のうち、あの寡黙の侍役の宮口精二も吉永小百合の父親役で出演しています (第8作寅次郎恋やつれ)。

 少し、脱線しましたので、志村喬に戻りましょう。博さんの母親が危篤になり、寅さんも博さんの父親の志村喬が住む備中高梁に葬儀で訪れ、そのまま志村喬宅に居候になりました。志村喬と夕食をともにした後、呑気に鼻歌を唄っている寅さんに元大学教授役の志村喬が懇々と言って聞かせるシーンが白眉です。以下はその時の台詞です。 

 「昔、学生の頃、信州の安曇野というところを旅行したんだ・・・ バスに乗り遅れて、田舎の畑道を一人で歩いているうちに日が暮れちまってね、暗い夜道を心細く歩いていると、ポツンと一軒の農家がたっているんだ・・・ リンドウの花が庭いっぱいに咲いてね、開けっぱなした縁側から灯りのついた茶の間で家族が食事をしているのが見える・・・・私はね、今でもその情景をありありと思い出すことができる。 庭一面に咲いたリンドウの花、あかあかと灯りのついた茶の間、にぎやかに食事をする家族たち・・・ 私はその時、それが・・それが本当の人間の生活じゃないかと・・・ふと、そう思ったら急に涙が出てきちゃってね・・・人間は絶対に一人じゃ生きていけない・・・さからっちゃいかん・・・人間は、人間の運命にさからっちゃいかん・・・そこに早く気がつかんと不幸な一生を送ることになる・・・わかるね、寅次郎君・・・わかるね・・・」

 思いおこせば、私も恥ずかしきことの数々、永いこと運命に逆らってきたことを反省させてくれる映画です。   
    
 By Jun

 *寅さんシリーズベスト5 (寅さんのレンタルビデオを借りるときの参考にしていただければ幸いです)

○私(Jun) 
1位 寅次郎恋歌     (第8作) 池内淳子
2位 寅次郎相合い傘  (第15作) 浅丘ルリ子
3位 寅次郎夢枕     (第10作) 八千草薫
4位 葛飾立志編     (第16作) 樫山文枝
5位 口笛を吹く寅次郎  (第32作) 竹下景子

○秋山仁氏(数学者:熱狂的寅さんファン)    出典:「ひと呼んでフーテンの寅」週刊読売臨時増刊
1位 寅次郎相合い傘   (第15作) 浅丘ルリ子
2位 寅次郎夕焼け小焼け(第17作)  太地喜和子
3位 葛飾立志編      (第16作)  樫山文枝
4位 寅次郎恋歌      (第8作)  池内淳子
5位 寅次郎物語      (第39作)  秋吉久美子

○吉村英夫氏(映画評論家:寅さんに無茶苦茶詳しい)   出典:「男はつらいよ 魅力大全」 著者吉村英夫
1位 寅次郎相合い傘   (第15作) 浅丘ルリ子
2位 男はつらいよ     (第1作) 光本幸子
3位 寅次郎恋歌      (第8作)  池内淳子
4位 知床慕情       (第38作) 竹下景子
5位 望郷編         (第5作)  長山藍子

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