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2006.10.08

「日の名残り」 シットリとした大人の映画 

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Ishiguro01_1 久しぶりにと言うか、滅多にない映画レビューです。最近のCGや効果音満載のハリウッド映画もいいのですが、たまにはCGや効果音満載の大作映画でない、シットリとした大人の映画も秋にはいいかもしれません。

 英国びいきの私が時々くり返して見ているのが、「日の名残り The Remains of the Day」です。この映画は、日系の英国人小説家、カズオ・イシグロ氏(右側の写真)の同名小説がベースとなっております。

 この方は、なんと1954年の長崎市生まれなのですが、両親とともに5歳のときに渡英し、それ以来英国在住で英国籍となり、日本語はほとんど話せないそうです。

 同氏が1989年に書いた小説「日の名残り」は、英国最高の文学賞である「ブッカー賞」を受賞しました。これを1993年にジェームス・アイヴォリー監督の下に映画化したのが、映画「日の名残り」であります。

 大体のストーリーは、英国の名門家に一生を捧げてきた老執事が自身の半生を回想し、職務に忠実なあまり断ち切ってしまった愛を確かめるさまを描いた人間ドラマであります。

 英国貴族の執事について、実によく描いた映画で、朝刊を主人に出す前にアイロンかけをして、シワをのばすなど実際にしていたとは言え、改めてびっくりしました。

 その他、要人が来るディナーパーティ前の準備で、食卓にセットする皿やナイフ・フォークの間隔を定規で測って揃えるなど執事のプロ意識には感嘆させられます。見所はこれだけでなく、貴族の館のインテリア等もなかなか見ごたえがあります。

Remainssyukusyoumoji なににもまして、素晴らしいのは名優、アンソニー・ホプキンスとエマ・トンプソンでしょう。二人とも、英国出身でアンソニー・ホプキンスはウェールズ、エマ・トンプソンはロンドン出身です。

 アンソニー・ホプキンスは、映画「羊たちの沈黙」で殺人鬼の「レクター博士」を演じましたが、「日の名残り」の執事役「スティーブンズ」を演じている時は、これが同一の役者かと思うくらい見事に演じ分けています。

 伝統ある英国の執事は、まさにこうあるべきであると言う当たり役であります。

 ただ、彼の演技論は「演技と言うものは全て絵空事であって、その要素は全てシナリオの中にある。」として、どのような役であっても特別にリサーチして演じることはないと言われております。

Anthonysyukusyoumoji  一方、ロバート・デ・ニーロは、徹底的にリサーチをかけてリアリティを追求するスタイルで、まさにアンソニー・ホプキンスのスタイルとは対極の関係であり、アンソニー・ホプキンスは、デ・ニーロの演技をばかげていると批判したことは有名なエピソードです。

 そのため、アンソニー・ホプキンスは、台本のチェック、暗記を徹底的に行い、撮影中は極めて自然に、役になり切って演技するそうです。

Emmasyukusyoumoji  一方相手役のエマ・トンプソンは、あまり有名でもなく、かつ美人でもありませんが実にアンソニー・ホプキンスを相手にするにふさわしい名女優であります。そうは、言っても1993年には「ハワーズ・エンド」でアカデミー主演女優賞を取っているのですから実力はすこぶるつきです。

 この老執事スティーブンズとハウスキーパー、ミス・ケントンの秘めたる恋の展開と、第二次世界大戦前の英国社会の模様、そして老執事が、主人の車を借りて別れ別れになっていたメイド頭に会いに旅行に出かけるストーリーがしみじみとした映画の良さを感じさせてくれます。我々、シニア世代にこそ共感を呼ぶ映画でもあります。

Darlingtonhousesyukusyoum  なお、スーパーマン役で有名なクリストファー・リーブスが半身不随となる前の出演がありますし、映画「ノッティングヒルの恋人」で主演したヒュー・グラントなども助演しております。

 また、映画の舞台となった架空の貴族の館「ダーリントン・ハウス」は、実際は英国エクセター市近くのパウダーハム城で撮影がなされています。映画の中のインテリアは、パウダーハム城のインテリアです。

Chariotsoffirecredit  同じく英国を舞台にした名映画「炎のランナー Chaiots of Fire」の冒頭の海岸と同様に、いつの日か英国を訪れる機会があれば、行ってみたい場所のひとつです。

 次のシーン、執事スティーブンスが恋愛小説を読んでいるところをミス・ケントンに見つけられる場面です。

 By  Jun

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コメント

Ryuさん、お早うございます。Junです。
最近の映画やドラマがつまらないのは、同感です。その原因のひとつに、テクノロジーの進化ではないかとも思います。CGや音響技術の進化で、バーチャルなものが多くなっており、現場でも苦労せずに映像が出来上がっているような気がします。黒澤明監督のように、思い通りの映像を撮るために、何日も待つようなこともしなくなりました。
その分、見る方もどうせCGだろうと思ってみます。
今、NHKBSで、寅さんシリーズがあっていますが、この映画の中の昭和の日本の各地の風景は、こういった意味からも見所のひとつでもあります。

投稿: Jun | 2006.10.21 09:29

昔の洋画は本当に素晴らしい物がたくさん有りますね!私の英語力では聞き取れませんでしたが、日系の作家が書いた小説が原作となっているのには感動です。昔、出張の機中でよく洋画を見ました。半分程度は理解でき、後は自分で勝手な翻訳をつけて楽しんでいました。良い映画はスクリーンの映像からなんとなく理解できる物なんではないでしょうか?最近の映画やドラマはつまらない物が多いですね!

投稿: Ryu | 2006.10.18 22:24

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